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犬のワクチン接種ガイドライン最新2015年版が登場

 「世界小動物獣医協会」(WSAVA)が、犬と猫のワクチンガイドラインの最新2015年度版を公開しました。旧2010年度版から若干の変更があります(2016.1.15/アメリカ)。

詳細

 以下は、WSAVAが公開しているワクチン接種ガイドラインの2010年版と2015年版における主要な変更点です。
子犬のコアワクチン接種
  • 2010年版8~9週齢でスタート→3~4週間隔で接種→ラストは14~16週齢→ブースターは12ヶ月後→その後の接種は最低3年空けること
  • 2015年版6~8週齢でスタート→2~4週間隔で接種→ラストは16週齢以降→半年後に抗体テストを受け、ネガティブならブースター→その後の接種は最低3年空けること
 ブースターワクチンに関しては従来、「最後の接種が終わってから12ヶ月後」とされていましたが、協会によるとこの期間に明確な根拠はなく、「飼い主が思い出しやすい」といった便宜上の意味合いの方が大きいとのこと。ワクチンが十分な免疫力を引き出せなかった場合に備え、最終接種から6ヶ月(26週)目をブースターのタイミングにした方がよいとしています。
 犬のコアワクチンであるジステンパー(CDV)、アデノウイルス(CAV)、パルボウイスル2型(CPV-2)に関しては、抗体テストキットが実用化されました。最後の接種が終わってから4週間以降のタイミングで抗体テストを行い、ネガティブだったときだけブースターを接種した方が「エビデンスベース」(確たる証拠に基づいた状態)であるとしています。しかし現時点ではテストキットの価格が高く、ワクチン注射の方が安いというのが現状です。
成犬のコアワクチン
 ワクチン歴のわからない16週を超えた子犬、および1歳以上の成犬には、1回のコアワクチン接種で十分だとしています。「2回必要」という主張には明確な根拠がないとのこと。
狂犬病ワクチン
 狂犬病ワクチンの免疫持続期間は「3年」というのが世界基準になりつつあります。法律で毎年接種を規定している国は、その接種間隔に明確な根拠を示せないのであれば、最新情報に合わせて改定すべきとしています。
新興ワクチン
 過去5年間で新たなワクチンがいくつか開発されました。しかしどれも世界的な流行を見せている「エピデミック」な疾病というよりは、地域限定の「エンデミック」な疾病がターゲットです。
  • ボルデテラワクチン ボルデテラ(気管支敗血症菌)は猫、犬、ウサギといった小型哺乳類の気道に感染し、気管支炎を引き起こす細菌で、ケンネルコフの原因菌の一種とされています。
  • インフルエンザワクチン 新型イヌインフルエンザ「H3N2」に対応したワクチンを含め、アメリカのみで流通しています。
  • メラノーマワクチン ガンの一種である「悪性黒色腫」(メラノーマ)に対応したワクチンです。こちらは予防というより、ガン細胞の増殖を抑える治療薬的な側面が強くなっています。
  • リーシュマニアワクチン 「リーシュマニア」は主として熱帯や亜熱帯地域で見られる原虫の一種で、日本ではほとんど見られません。ブラジルやヨーロッパの一部の国で流通しています。
犬のワクチン接種 WSAVA Vaccination Guidelines 2015