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法の監視機構がいい加減なイギリスでペット産業がほとんど無法化

 動物の福祉を保障するための法律が整備されているはずのイギリスでは、監視機構がいい加減であるため、ペット産業がほとんど無法化してしまっているようです(2016.2.22/イギリス)。

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 Mirror紙の推計によると2015年度、アイルランドから4万頭のほか、ルーマニア、ハンガリー、ポーランド、リトアニアといった東欧諸国からおよそ3万頭の子犬たちがイギリス国内に不法に持ち込まれ、単純計算すると1日191頭ペースで密輸入が進行しているといいます。こうした不法行為の背景にあるのは、ある特定の犬種を安易に追い求める消費者の購買欲です。イギリスで特に人気が高いのは、フレンチブルドック、ポメラニアン、シーズー、ヨークシャーテリア、パグといった小型犬で、高まる需要に呼応する形で国外からの密輸入も増えているとのこと。ギャングにとってこの仕事はおいしく、1週間で3万5,000ポンド、全体では1億ポンドにまでなると推計されています。
 こうした不法取引の犠牲になるのは、繁殖犬として利用されている母犬とその子犬たちです。「パピーミル」とも呼ばれる劣悪繁殖業者は、汚い施設内に犬たちを押し詰め、休む間も与えず出産を強要します。また遺伝的な問題を無視した近親交配も横行しており、家庭にもらわれていってから体調を崩したり遺伝病を発症することもしばしばです。まるで工業製品のように大量に生み出された子犬たちは、偽の健康診断書やワクチン接種記録を添付され、イギリス国内に持ち込まれます。しかし国境における検査はおざなりで、書類にあからさまな不備がない限り、悪徳繁殖業者が追い返されるということありません。
 一方、国のいい加減な監視機構に対しては署名活動も行われており、すでに5万人以上が賛同しているといいます。動物の福祉を監視する「RSPCA」では、パピーミル産業を知らないうちに支えてしまわないよう、以下に述べるような点に注意するよう呼びかけています。
パピーミルを避ける方法
  • 8週齢に達していない子犬は買わないこと
  • 最低でも1回は母犬に会うこと
  • 母犬が出産直後であることを確認すること
  • 宅配や待ち合わせ方式で子犬を買わないこと
  • ワクチン証明書やその他の書類が本物であることを確認すること
  • 健康証明書をもらうこと
  • 健康状態を実際によく観察すること
  • 同腹子と遊んでいる姿をよく見ること
  • ブリーダーの施設を複数回訪れること
  • 訪問を断るブリーダーは避けること
  • 不審な点はRSPCAに報告すること
イギリスは動物愛護の先進国? 日本のペット産業 Two hundred poorly puppies smuggled into UK EVERY DAY as demand for designer dogs soars イギリスではいい加減な法の監視機構がパピーミルの暗躍を許している