トップ2016年・犬ニュース一覧4月の犬ニュース4月6日

犬は年を取ると近視になることが判明

 犬たちは歳をとるとレンズの屈折異常が大きくなり、近視傾向になることが明らかになりました(2016.4.6/アメリカ)。

詳細

 ネスレリサーチセンターやミズーリ大学などからなる共同研究チームは、1~14歳の白内障の徴候が見られないビーグル9頭を対象とし、人間の乳幼児などに用いられる屈折度測定装置(Welch Allyn SureSight)によって等価球面度数の屈折異常を調査しました。テストは部屋の中の照明が点いている状況と、照明は消えているが隣の部屋から光が入ってくる状況の両方で行われ、なおかつ再現性を確かめるために日を分けて合計3回繰り返されました。その結果、計測した日や左右の目で大きな違いは見られず、年齢が上がるにつれて近視傾向が強まることが判明したといいます。また若い犬の水晶体は老犬のそれより柔軟性があるとも。
 こうしたデータから研究チームは、人間用に開発された屈折度測定装置は犬に対しても用いることができ、水晶体が硬くなる核硬化症と初期の白内障を見分ける際に役立つかもしれないとの結論に至りました。ちなみに老犬の屈折異常は「-2.00~-3.00D」程度で、イメージ的には以下に示したような見え方をしているものと推測されます。 近視の犬から見た世界(想像図) Aging Dogs Manifest Myopia as Measured by Autorefractor

解説

 2012年に行われた調査では、7頭のラブラドールレトリバーと1頭のチェサピークベイレトリバーを人為的に近視にして、パフォーマンスがどの様に変化するかが観察されました(→出典)。チームはまず犬たちを訓練し、137.2m離れた場所にある対象物を取ってくることを覚えさせました。次に「無屈折レンズ」、「+1.50Dレンズ」(軽い近視)、「+3.00Dレンズ」(重度の近視)という3種類のコンタクトレンズをランダムで犬に装着し、事前の訓練通り「取って来い」をやらせてみました。その結果、戻ってくるまでの時間は「無屈折レンズ」が最も早かったと言います。また「+1.50Dレンズ」と「+3.00Dレンズ」ではタイム的に違いは見られなかったものの、人間の審判が客観的にパフォーマンスを採点した結果、「+3.00Dレンズ」が最低と評価されたそうです。こうした知見から研究チームは「+1.50D」という軽度の近視でも、犬のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとの結論に至りました。
 レトリバーを対象としたコンタクトレンズ調査と、ビーグルを対象とした屈折異常調査とを考え合わせると、年をとった犬は近視傾向が強くなり、視界がぼやけて何かと行動に不都合が生じやすくなるという可能性が見えてきます。老犬のいる家庭ではこうした可能性を念頭に置き、「ぶつかると危険な角部分をカバーする」とか「床に鋭利なものが落ちていないか常にチェックする」といった環境整備をしてあげる必要がありそうです。 体が衰えた老犬の介護