詳細
発ガン性が疑われることから全米中を騒がせている人工芝問題は、日本に暮らしている犬にとっても無関係ではありません。
騒動の経緯
- 2009年 アメリカ・ワシントン大学女子サッカー部に所属する2人のゴールキーパーが、ガンの一種である悪性リンパ腫の診断を受ける→サッカー部の主将兼准ヘッドコーチだったエイミー・グリフィンさんは、プレー中に空気中に舞い上がる極小の黒いゴム屑が病気の原因ではないかと当たりをつけ、独自の調査を始める→他の大学に所属するサッカー選手たちの医療記録を調べたところ、治療を受けた38人のうち34人がゴールキーパーで、そのすべてが「ガン」(リンパ腫や白血病)と診断されていた事実に行き着く
- 2014年 米テレビ局「NBC」が、上記グリフィンさんの調査資料を大々的に報道→メディアの報道合戦が始まり、人工芝の安全性に関する議論が国内で盛り上がる→詳細に調査したところ、吸い込んだゴム屑が原因と推定される呼吸器疾患などが、過去20年で60件に上る事実が明るみに出る
- 2015年 3月、「USA Today」が全米を対象とした調査を行ない、全国にある1万ヶ所以上の競技場で使用されている人工芝には、鉛が高濃度で含まれており、多くの保育園や子どもの遊び場が危険に晒されていると報道→安全性に関する疑念が高まるも、環境保護庁はこうした国民の不安を実質的に黙殺
- 2016年 2月、「環境保護庁」、「消費者製品安全委員会」、「疾病予防管理センター」が協同し、人工芝の安全性に関する調査がようやく開始される←今ここ
解説
人工芝の発ガン性に関しては限りなく「黒」に近いと目されているものの、政府機関による公式な発表はまだ出されていないというのが現状です。今現在、人工芝に関してわかっている事実をまとめると以下のようになります。
日本では野球場やサッカー場といったスポーツ施設のほか、ドッグランといったリクリエーション施設においても人工芝が用いられています。飼い主として確認すべきは「どのメーカーの人工芝を使っているか」という点ではなく、「どのようなクッション剤を用いているか」という点であるようです。犬は体高が低い分地面との距離が近く、それだけクッション剤を吸い込んでしまう危険性が高まります。現在利用しているドッグランが人工芝を採用している場合、いちど施設にクッション材を使用しているかどうかを確認してみるのも無駄ではないでしょう。
人工芝と発ガン性
- 人工芝にはクッション性を高めるため充填剤が用いられる
- 充填剤には廃タイヤなどを細かく砕いたものが用いられる
- 充填剤にはベンゼン、カーボンブラック、鉛などが含まれる
- カーボンブラックと鉛は「ヒトに対する発癌性が疑われる」(IARC基準)
- 人工芝から飛び散ったクッション材が体内に入ることはよくある
