スウォンジジャック

　スウォンジジャック（Swansea Jack）は、生涯で27人の命を救ったとされる水難救助犬。
　1930年生まれのジャックは、飼い主であるウィリアム・トーマス氏と共に、ウェールズ南部にあるスウォンジという都市に暮らしていました。外見は現代のフラットコーテドレトリバーに近く、体はそれほど大きくなかったと伝えられています。そんなありふれた体格の彼が、名前を歴史にとどめることができたのは、ずば抜けた水泳能力を備えていたからです。 　スウォンジジャックによる最初の救出劇は1931年6月のことでした。川で溺れている12歳の少年を助け、岸まで運んであげたのです。この記念すべき最初の活躍は話題になりませんでしたが、数週間後、ドックで溺れていた人を衆人環視の中で救ったことから一躍ヒーローになります。新聞は彼の活躍を大々的に掲載し、また地元の市議会は栄誉の印である「シルバーカラー」（銀の首輪）を授与しました。
　その後も彼の活躍は続き、1936年には、「London Star」誌によって「最も勇敢な犬大賞」に選ばれています。またロンドン市長からはシルバーカップも授与されました。動物の福祉向上を目指すチャリティ団体「NCD」（現：Dogs Trust）から、2つのブロンズメダルを獲得した犬として記録されているのは、いまだに彼だけです。 　大活躍のスウォンジジャックでしたが、1937年、殺鼠剤を誤食してわずか7年という短い生涯を終えています。合計で27人の命を救ったとされる彼の死を悼んだ市民は早速資金を募り、セントヘレンラグビーグラウンド近くのプロムナードに墓碑を建立しました。この墓碑は、現在も当時の姿で立っています。 Swansea Jack Swansea Museum

　以下でご紹介するのは、生涯で27人の命を救ったとされる水難救助犬「スウォンジジャック」の写真です。

　スウォンジに生まれた人々が「スウォンジジャック」と呼ばれるのは、彼の名前に由来しているという説もある。写真の出典はこちら。

　セントヘレンラグビーグラウンドの近くにあるスウォンジジャックの墓碑。「スウォンジ」という聞きなれない都市は、ウェールズ国内においてはカーディフに次いで2番目の人口を誇る。写真の出典はこちら。