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ライカ

 宇宙船で地球を周回した世界初の犬「ライカ」について解説します。

ライカとは?

 ライカ(Laika)は、宇宙船で地球を周回した世界初の犬。
 ソビエト連邦(現:ロシア)では、1951年から犬を宇宙船に乗せて大気圏に打ち上げるという実験を繰り返してきました。わかっているだけで12頭の犬が実験に使われてきましたが、これらはすべて「非周回性」、すなわち地球をぐるっと一周しないタイプのものでした。
1957年当時のソビエト連邦最高指導者ニキータ・フルシチョフ  1957年、ソビエト連邦における当時の最高指導者ニキータ・フルシチョフは、ロシアの科学力を世界に対して見せ付けるため、あっと驚くような企画を科学者たちに命じました。そのビックリ企画として持ち上がったのが、後にライカの運命を左右することになる「動物による世界初の地球周回計画」です。この決定が下されたのは、打ち上げからわずか1ヶ月前の1957年10月10日前後だったため、宇宙船の建造にはわずか4週間しか残されていなかったといいます。
世界初の地球周回動物となったライカ  「地球周回」という偉業を担うソビエト代表として選ばれたのが、ライカ、ムシュカ、アルビナという3頭の犬です。これらの犬は、「寒さや飢えに対する予行演習がすでにできている」という単純な理由により、全てモスクワの野良犬から選抜されました。
 結局宇宙に旅立つ犬としては、推定3歳のメス犬・ライカが選ばれ、アルビナは補欠、ムシュカは地上待機となりました。ライカは体重約5キログラムの雑種犬で、ハスキーとテリアの血が入っていたと伝えられています。
ソビエト連邦時代の宇宙船「スプートニク2号」  1957年11月3日、バイコヌール宇宙基地からライカの乗った「スプートニク2号」が打ち上げられると、彼女の呼吸数は平常時の3~4倍に増え、心拍数は103から240毎分に跳ね上がったといいます。心拍数がようやく102にまで回復したのは、大気圏を脱出して無重力になってから約3時間後でした。そのときはまだ、エサを食べるなど落ち着いた様子を見せていたそうです。しかし無重力状態になってから5~7時間後、ライカに装着していた計測機器から、一切の生存反応がなくなります。彼女の死因に関しては、計画に携わった一人の科学者が2002年に明らかにしたところによると、「地球周回4周目に差し掛かったとき、船内が熱くなりすぎた」ことだそうです。
 こうして世界初の地球を周回した動物となったライカは、1959年には切手となり、また2008年4月11日には、スプートニク2号の打ち上げ準備を担当したモスクワの軍事研究施設に記念碑が建立されています。 Laika(dog) SPACE.COM

ライカの写真・動画

 以下でご紹介するのは、宇宙船で地球を周回した世界初の犬「ライカ」の写真と動画です。 スプートニク2号の模擬船に乗るライカ
 ライカ、ムシュカ、アルビナの3頭は、宇宙船や宇宙空間の環境に慣れるため、極端に閉鎖された空間に入ったり、宇宙船の出す轟音(ごうおん)に耳を慣らしたり、遠心分離機に入るなどの訓練を、約3週間に渡って続けた。写真の出典はこちら
打ち上げ用の装備を身につけたライカ
 ライカは穏やかな性格で、計画に携わった科学者たちからも愛されていた。彼女が死ぬ運命にあることを知っていた科学者の一人は、「宇宙に行く前にいい思い出を作ってあげたい」という思いから、ライカを自宅に連れ帰り、子供たちと遊ばせてあげたという。写真の出典はこちら
2008年、ロシアのスペースシティに建立されたライカの銅像
 死ぬことが分かっていながらライカを宇宙に送ったことについて、世界中で少なからぬ論争が巻き起こった。イギリスでは動物愛護団体がソビエト大使館に抗議するよう仲間たちに呼びかけ、アメリカではニューヨークの国連前でデモが展開された。また計画に携わった科学者の一人オレグ・ガゼンコ氏は、「あんなことするんじゃなかった」と、ソビエト崩壊後に回顧している。写真の出典はこちら
宇宙犬ライカ
 以下でご紹介するのは、世界で初めて地球を周回してことで有名な犬「ライカ」の映像です。 元動画は→こちら