ジョージ

　ジョージ（George）は、凶暴な犬から子供たちを守った勇敢な犬。
　2007年4月29日、ニュージーランド北部にある小さな田舎町・マナイアに暮らすジャックラッセルテリアのジョージは、3～12歳までの5人の子供たちと仲良く遊んでいました。そこに2頭のピットブルが現れたのは、ちょうど子供たちが近くの商店でおやつを買った帰りのことです。
　飼い主もおらず、また拘束具も付けていなかったピットブルたちは、突然子供たちに襲い掛かり、噛みつこうとしました。それを見て黙っていなかったのがジョージです。彼は自分よりも何倍も大きいピットブルに、勇敢にも吠え立て、飛び掛っていったといいます。彼は襲われていた4歳になるダリーと犬たちとの間に割り込み、ピットブルの攻撃を自分に向けました。ダリーを含む子供たちはその隙を見て逃げ出し、事なきを得ましたが、結局ジョージと言う大きな代償を支払うことになります。
　騒ぎを聞きつけた近所の人がようやくジョージを救い出したとき、彼の頭や首の皮膚ははがれ、瀕死の重傷に陥っていました。その後すぐに病院に運ばれましたが、状態が余りにも悪かったため、獣医師の勧めにより安楽死と言う最期を遂げています。 　このように、身を挺して5人の子供たちを救ったジョージの英雄的な行動は、多くの人の心を動かしました。
　まずニュージーランド動物保護協会は彼に対し「敢闘メダル」を授与しています。これは1990年に2頭の警察犬に授与して以来の快挙です。
　また彼の噂を聞いた元アメリカ海兵隊のジェレル・ハドマンさんは、自身がベトナム戦争で獲得した3つの「パープルハート章」の内の一つを、ジョージに与えています。「パープルハート章」とは、戦闘によって死傷したアメリカ兵に対して与えられる名誉ある勲章のことです。
　さらに2009年2月には、イギリスの動物福祉ボランティア団体PSDAが「PSDA金メダル」を授与しました。このメダルは、人命救助等における勇敢な行為に対してに与えられるイギリスの「ジョージ・クロス章」の動物版で、最高の名誉とされるものです。
　現在、地元マナイアにはジョージの銅像が建立され、彼のとった勇敢な行動を後世に伝えています。 George（Dog） The Sydney Morning Herald

　以下でご紹介するのは、凶暴な犬から子供たちを守った勇敢な犬「ジョージ」の写真です。

　飼い主のアラン・ゲイさんは「ジョージは勇敢だった。体格は全然違うのに、犬にジャンプして子供たちから遠ざけようとしたんだ」と語っている。なおピットブルの飼い主は後に、危険動物の飼育と監督不行き届きで起訴され、またピットブルは殺処分されている。結局、この無責任な飼い主のせいで、3頭の犬が死に追いやられたことになる。写真の出典はこちら。

　ジョージの銅像には、「ジョージを記念して～2007年4月29日、2頭の凶暴な犬から子供たちを救った犬」という銘板が添えられている。写真の出典はこちら。