ジョックとは?
ジョック(Dzok)は、死んだ飼い主を1年間待ち続けたポーランドの忠犬。
1992年のある夏の日、ジョックとその飼い主である年配の男性は、ポーランド南部にある都市クラクフのグリュンワルド交差点を歩いていました。すると突然飼い主が卒倒し、救急車で搬送されてしまいます。犬は救急車に同乗できないため、ジョックはその場に置き去りにされてしまいました。蘇生術が施されたものの、心臓発作を起こした飼い主は帰らぬ人となり、結局ジョックは天涯孤独の身となってしまいます。
行き場を失ったジョックは、しばらくの間何をして良いのか分からず、男性が倒れこんだ付近をうろうろしていたといいます。 それから1週間後、見かねた近隣の住人が彼を保護しようと、「クラクフ動物シェルター」に連絡を入れました。しかし保護を拒むジョックが執拗(しつよう)に逃げ続けたため、とうとう彼を捕まえることはできませんでした。
飼い主の帰りを待つジョックの姿は、いつしか交差点の一部になり、彼目当てでその場を訪れる人々も現れ出します。しまいには新聞やラジオで取り上げられ、雑誌の表紙を飾るほどの人気者になっていきました。
そんなジョックに大きな転機が訪れたのは、路上生活を始めてからちょうど1年が過ぎた、ある夏の日のことでした。近くに住む年配の女性マリア・ミラーさんとその飼い犬であるカイテック(Kajtek)が、ジョックの心を開くことに成功したのです。人見知りの激しかったジョックも、なぜかマリアさんにだけは心を許し、またカイテックともすぐに仲良くなったといいます。こうして、マリアさんの飼い犬となったジョックの新しい生活がスタートしました。
それから6年間は幸せな日々が続きました。しかし飼い主だったマリアさんが、ある日突然帰らぬ人となってしまいます。残された2匹の犬はすぐに動物シェルターに引き取られ、新しい飼い主の募集が始まりました。ところが、何かが気に食わなかったジョックは地面に穴を掘ってシェルターのフェンスから抜け出してしまいます。彼が次に発見されたのは、数キロ離れた線路の上でした。発見されたときにはすでに、彼の体は冷たくなっていたということです。
人気者だったジョックの死は人々の心を動かし、記念碑建立の話が持ち上がります。話はとんとん拍子に進み、2001年の春、彼が帰らぬ主人を約1年間待ち続けた場所から、ほんの数百メートル離れた場所に、銅像が建てられました。これはヴィスワ川のほとり、バベル城の麓という風光明媚な場所で、観光地にもなっています。 Fundacja PSILOS
krakow POST

行き場を失ったジョックは、しばらくの間何をして良いのか分からず、男性が倒れこんだ付近をうろうろしていたといいます。 それから1週間後、見かねた近隣の住人が彼を保護しようと、「クラクフ動物シェルター」に連絡を入れました。しかし保護を拒むジョックが執拗(しつよう)に逃げ続けたため、とうとう彼を捕まえることはできませんでした。
飼い主の帰りを待つジョックの姿は、いつしか交差点の一部になり、彼目当てでその場を訪れる人々も現れ出します。しまいには新聞やラジオで取り上げられ、雑誌の表紙を飾るほどの人気者になっていきました。
