クレデリオ®錠とは?
「クレデリオ®錠」はロチラネル(lotilaner)を有効成分とする犬向けのノミ・マダニ駆除製品。日本国内ではチュアブル(経口投与)タイプが動物医薬品として認可されています。
ロチラネルの効果
クレデリオ®錠の有効成分であるロチラネルは製薬会社「エランコ」が開発したイソキサゾリン系化合物の一種。節足動物のγ-アミノ酪酸(GABA)作動性塩素イオンチャンネルに作用し、塩素イオンの神経細胞流入を阻害することで過剰な興奮を引き起こし、ノミやマダニを死亡させます。
ロチラネルの安全性
ラットを対象としたロチラネルの安全性試験では、経口毒性も経皮毒性も半数致死量(LD50)が体重1kg当たり2,000mg超であることから、急性毒性の危険性は極めて少ないとみなされています(:EMA Factsheet)。
一方、体重1kg当たり1日60mgを給餌した28日間の慢性毒性試験では、食欲不振と体重減少が見られたといいます。また13週間の長期投与試験では皮膚、卵巣、肺に病変が認められたとも。こうしたデータからNOAEL(有害反応が見られない最大量)は体重1kg当たり1日5mgと推計されています。
生殖毒性に関しては、体重1kg当たり1日40mgのロチラネルを10週間にわたってメスに経口投与したところ、着床率と妊娠率の低下が見られたことから、NOAELは体重1kg当たり1日5mgと推計されました。
発達毒性に関しては、妊娠中のメスラットに体重1kg当たり1日9、18、50mgのロチラネルを経口投与しても、胚毒性、胎子毒性、催奇形性は認められなかったとされています。しかし母ラットへの毒性が高用量(50mg)で発現したことから、妊娠中のメスおよび母体内の胚や胎子のNOAELは体重1kg当たり1日18mgとされています。なお製品の添付文書では、妊娠中や授乳中の犬に対する安全性が確認されていないため使用を避けるよう明言されています。
その他、遺伝毒性、発がん性は認められていません。
一方、体重1kg当たり1日60mgを給餌した28日間の慢性毒性試験では、食欲不振と体重減少が見られたといいます。また13週間の長期投与試験では皮膚、卵巣、肺に病変が認められたとも。こうしたデータからNOAEL(有害反応が見られない最大量)は体重1kg当たり1日5mgと推計されています。
生殖毒性に関しては、体重1kg当たり1日40mgのロチラネルを10週間にわたってメスに経口投与したところ、着床率と妊娠率の低下が見られたことから、NOAELは体重1kg当たり1日5mgと推計されました。
発達毒性に関しては、妊娠中のメスラットに体重1kg当たり1日9、18、50mgのロチラネルを経口投与しても、胚毒性、胎子毒性、催奇形性は認められなかったとされています。しかし母ラットへの毒性が高用量(50mg)で発現したことから、妊娠中のメスおよび母体内の胚や胎子のNOAELは体重1kg当たり1日18mgとされています。なお製品の添付文書では、妊娠中や授乳中の犬に対する安全性が確認されていないため使用を避けるよう明言されています。
その他、遺伝毒性、発がん性は認められていません。
ロチラネルの毒性・副作用
ロチラネル(20mg/kg)を犬に経口投与した場合、摂取後は速やかに消化管から吸収され、2時間で血中最高濃度(3,584ng/mL)に達します。成分は脂肪組織、肝臓、腎臓などに蓄積するほか、大部分は胆汁によって便中に排出され、残りの10%未満は腎臓を通じて尿中に排出されます。推定半減期は30.7日とかなり緩やかです(:EMA Factsheet)。
生後8週齢のビーグル32頭をランダムで4つのグループに分け、体重1kg当たりそれぞれ0mg、43mg、129mg、215mgのロチラネルを4週間に1回のペースで8ヶ月間に渡って経口投与したところ、副作用や有害反応は見られなかったといいます(:Kuntz, 2017)。一方、逸話的に嘔吐、軟便、下痢などの一時的な症状が報告されているため、認可後に現れる「none known」(知られていない)の副作用に対するモニタリングが必要だとも言及しています。
実際2018年、アメリカ食品医薬品局(FDA)がイソキサゾリン系のノミダニ駆除剤が一部の犬や猫に対して神経系の副作用を引き起こすとして公式の警告を発しました。具体的な症状は筋肉のけいれん、全身の震え、運動失調、発作・ひきつけなどで、以下の商品に対して注意を呼びかけています(カッコ内は原因成分)。 イソオキサゾリン系の成分は、アメリカやヨーロッパで行われた副作用事例の統計調査を通じ、哺乳動物(犬・猫・人間)に対して想定以上の毒性を発揮する危険性が指摘されています。詳しくは以下のページで解説してありますのでご参照ください。 日本国内においては2017年11月に認可されて「クレデリオ®錠」という商標名で流通していますが、動物医薬品データベースを見る限り、目立った副作用事例は報告されていないようです。しかし流通が始まって日が浅い製品(成分)ですので、製薬会社だけでなく飼い主自身も未知の有害反応を慎重にモニタリングする心構えが必要でしょう。
生後8週齢のビーグル32頭をランダムで4つのグループに分け、体重1kg当たりそれぞれ0mg、43mg、129mg、215mgのロチラネルを4週間に1回のペースで8ヶ月間に渡って経口投与したところ、副作用や有害反応は見られなかったといいます(:Kuntz, 2017)。一方、逸話的に嘔吐、軟便、下痢などの一時的な症状が報告されているため、認可後に現れる「none known」(知られていない)の副作用に対するモニタリングが必要だとも言及しています。
実際2018年、アメリカ食品医薬品局(FDA)がイソキサゾリン系のノミダニ駆除剤が一部の犬や猫に対して神経系の副作用を引き起こすとして公式の警告を発しました。具体的な症状は筋肉のけいれん、全身の震え、運動失調、発作・ひきつけなどで、以下の商品に対して注意を呼びかけています(カッコ内は原因成分)。 イソオキサゾリン系の成分は、アメリカやヨーロッパで行われた副作用事例の統計調査を通じ、哺乳動物(犬・猫・人間)に対して想定以上の毒性を発揮する危険性が指摘されています。詳しくは以下のページで解説してありますのでご参照ください。 日本国内においては2017年11月に認可されて「クレデリオ®錠」という商標名で流通していますが、動物医薬品データベースを見る限り、目立った副作用事例は報告されていないようです。しかし流通が始まって日が浅い製品(成分)ですので、製薬会社だけでなく飼い主自身も未知の有害反応を慎重にモニタリングする心構えが必要でしょう。
クレデリオ®錠
クレデリオ®錠はロチラネルを有効成分とする犬向けチュアブル(経口投与式)のノミダニ駆除剤。1回の投与でおよそ1ヶ月間、ノミとダニに対する駆除効果が持続するとされています。ノミやダニに十分な量の成分を取り込ませるには吸血してもらわなければなりません。ですから当製品の目的は駆除であって寄生予防ではないこと、および寄生虫が吸血することによって媒介される病気までは予防できないことは事前に理解しておく必要があります。
【公式】クレデリオ®錠
クレデリオ®錠の使い方
- いつから使える?使用条件は8週齢以降、体重1.5kg以上とされています。
- 使用頻度は?効果が1ヶ月であることから毎月の使用が望ましいとされています。
- 使用期間は?ノミやダニは通年性で生息していますので1年中使用することが望ましいとされています。
- 料金は?動物病院、犬の体の大きさ(体重)、体重に連動した錠剤のサイズ、使用頻度によって合計費用は変動しますが、病院で処方される1錠の料金はSサイズなら1,400~1,500円程度、Lサイズなら1,700~1,800円程度です。なお要指示薬には指定されていませんが、医薬品のため獣医師による診察と処方が理想とされます。
- 与え方は? 食餌とともに、もしくは食後30分以内に経口投与することが指示されています。空腹時の生物学的利用率が24%なのに対し、食餌とともに摂取した場合は82%に激増するからです。
- 使用量は?
有効最低量は体重1kg当たり20mgとされており、犬の体重に合わせて以下のような使用基準が設けられています。なお体重が45kg以上ある場合は一番大きいXLともう1つ別の1サイズを体重に合わせて与えます。
✓1.5~2.5kg未満→56.25mg(S)
✓2.5~5.5kg未満→112.5mg(M)
✓5.5~11kg未満→225mg(L)
✓11~22kg未満→450mg(LL)
✓22~45kg未満→900mg(XL) - 使用上の注意は?使用する際の注意点は「用法(8週齢以降)や用量(体重1kg当たり20mg)を厳守すること」「獣医師の処方箋とともに与えること」「犬以外には使用しないこと」「使用期限が過ぎたものを使わない」などです。滴下式(スポットオン)ではありませんので、投与前後におけるお風呂やシャンプーの制限はありません。賦形剤として用いられているブタ肝臓由来のフレーバー(※味はビーフ)が消化器系の不調を招く可能性がゼロではないとされています。
クレデリオ®錠の効果
以下はクレデリオ®錠(ロチラネル)を実験室内もしくは一般家庭の犬に対して投与した時の効果に関する調査報告です。
ネコノミへの即効性
ネコノミへの効果持続期間
ネコノミのフィールド調査
「Elanco Animal Health」の調査チームはアメリカ国内にある10の動物病院を受診した一般のペット犬のうち、最低10匹のネコノミ寄生が確認された犬をランダムで2:1の割合に分け、多い方(111頭)にクレデリオ(ロチラネル20mg/kg)、少ない方(50頭)にネクスガードを投与して効果を検証しました。30日の間隔を開けて合計3回投与し、投与から30日後のタイミングでノミの寄生数を確認したところ、ロチラネルグループにおける駆除率は初回投与30日後が99.3%、2回目投与30日後が99.9%、3回目投与30日後が100%だったといいます。
調査期間中、94%の犬が忌避せずに薬を摂取し、副作用は見られず、ノミアレルギー性皮膚炎の度合いも軽減したとのこと(:Karadzovska, 2017)。
調査期間中、94%の犬が忌避せずに薬を摂取し、副作用は見られず、ノミアレルギー性皮膚炎の度合いも軽減したとのこと(:Karadzovska, 2017)。
マダニへの即効性
マダニへの効果持続期間
「Elanco Animal Health」の調査チームは犬たちをランダムで2つのグループに分け、一方にだけロチラネル(20mg/kg)を経口投与してさまざまな種類のダニに対する駆除効果の持続期間を検証しました。週に1回のペースで合計5回に渡ってマダニに暴露し、暴露から48時間待った上で体表生存数を未投与グループと比較したところ、ほぼすべてのチェックポイントにおいて99%超の駆除率が確認されたといいます。
こうした結果から調査チームは、ロチラネルの1回投与で少なくとも1ヶ月間はダニに対する駆除効果が持続するとの結論に至りました。なお調査に用いられたダニの種類はアメリカイヌカクマダニ、クリイロコイタマダニ、キララマダニ、シカダニの4種です(:Murphy, 2017)。
こうした結果から調査チームは、ロチラネルの1回投与で少なくとも1ヶ月間はダニに対する駆除効果が持続するとの結論に至りました。なお調査に用いられたダニの種類はアメリカイヌカクマダニ、クリイロコイタマダニ、キララマダニ、シカダニの4種です(:Murphy, 2017)。
マダニのフィールド調査
「Elanco Animal Health」の調査チームはドイツ、ハンガリー、ポルトガルにある19の動物病院を受診した一般のペット犬のうち、最低3匹のダニ寄生が確認された犬をランダムで2:1の割合に分け、多い方(127頭)にクレデリオ(ロチラネル20mg/kg)、少ない方(68頭)にフロントラインを投与して効果を検証しました。28日の間隔を開けて合計3回投与し、週に1回のペースでダニの体表生存数を確認したところ、ロチラネルグループにおける調査期間中の駆除率は、すべてのチェックポイントにおいて98%超だったといいます。また副作用や有害反応は報告されなかったとも(:Cavalleri, 2017)。