犬の不妊手術と肥満
2019年、アメリカ・ワシントン大学病理学部が犬に対する不妊手術に関する包括的なレビューを行いました。当ページでは手術と肥満の関連性について検証した過去の調査報告(エビデンス)をご紹介します。なお出典論文はオープンアクセスです。
Desexing Dogs: A Review of the Current Literature
Silvan R. Urfer, Matt Kaeberlein, Animals 2019, 9(12), 1086; DOI:10.3390/ani9121086
Silvan R. Urfer, Matt Kaeberlein, Animals 2019, 9(12), 1086; DOI:10.3390/ani9121086
ざっくりまとめると
- 国に関わらずオスでもメスでも不妊手術をした方が太りやすいという報告が大多数を占める
- 不妊手術が体重減少につながるという報告はほぼない
- 「不妊手術+犬種」が肥満の危険因子になるという報告が少数ある
- 「不妊手術+体の大きさ」が肥満の危険因子になるという報告が少数ある
- 術後の肥満はホルモンバランス変化、運動量減少、摂食量増加の相互作用と考えられる
犬の不妊手術と肥満・エビデンス集
以下は犬の不妊手術と泌尿器疾患の関連性に関するエビデンス(科学的証拠)です。出典へのリンクもありますので参考にして下さい。なお文中に登場する「BCS」とは「ボディコンディションスコア」のことで、犬の体型を目でチェックして肥満の度合いを評価する手法のことを指しています。
イギリス(1986)
1983年、英国内にある11の動物病院を受診した8,268頭の犬を対象とし、肥満の疫学を調査しました。5段階のBCSを用いて体型を評価したところ、太り気味(BCS4)と明らかな肥満(BCS5)を合わせ、全体の24.3%を占めていたといいます。危険因子を検証した結果、ラブラドールレトリバーと不妊手術が残ったとも。オスでもメスでも不妊手術をした方が太りやすく、特にメス犬では手術を受けた場合のリスクが2倍になると推計されました。
Study of obesity in dogs visiting veterinary practices in the United Kingdom
Edney AT, Smith PM., Vet Rec. 1986 Apr 5;118(14):391-6, DOI: 10.1136/vr.118.14.391
Edney AT, Smith PM., Vet Rec. 1986 Apr 5;118(14):391-6, DOI: 10.1136/vr.118.14.391
ドイツ(1990)
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの調査チームは、不妊手術を受けたオス犬209頭とメス犬382頭の飼い主への聞き取り調査を行い、手術前後で犬の体や行動にどのような変化が見られるのかを検証しました。
その結果、全般的にオス犬の方が行動に変化が見られる割合が高く、変化の度合いも大きかったといいます。オス犬に限定した場合、42%では摂食量と体重が増加し、36%では休憩時間の増加が確認されました。またメス犬に限定した場合、32%では摂食量と体重が増加し、18%では休憩時間の増加が確認されたとも。 Changes in the behavior of dogs after castration
Heidenberger E, Unshelm J, Tierarztliche Praxis, 01 Feb 1990, 18(1):69-75
その結果、全般的にオス犬の方が行動に変化が見られる割合が高く、変化の度合いも大きかったといいます。オス犬に限定した場合、42%では摂食量と体重が増加し、36%では休憩時間の増加が確認されました。またメス犬に限定した場合、32%では摂食量と体重が増加し、18%では休憩時間の増加が確認されたとも。 Changes in the behavior of dogs after castration
Heidenberger E, Unshelm J, Tierarztliche Praxis, 01 Feb 1990, 18(1):69-75
オランダ(1997)
ユトレヒト大学の調査チームは、去勢(精巣切除)手術を施した122頭のオス犬の飼い主に聞き取り調査を行い、術後の行動や男性ホルモン依存型疾患にどのような変化が現れるかを検証しました。
望ましくない副作用としては、50%未満の犬で体重の増加、食欲の増進、運動量の減少が報告されました。また食欲の増進と体重の増加との間には明白な相関関係が見られたとも。 Influence of orchiectomy on canine behaviour
R.J.Maarschalkerweerd, DVM, N. Endenburg, PhD, J. Kirpensteijn, DVM and B. W. Knol, DVM, PhD, VetRecord Volume 140, Issue 24, DOI:10.1136/vr.140.24.617
望ましくない副作用としては、50%未満の犬で体重の増加、食欲の増進、運動量の減少が報告されました。また食欲の増進と体重の増加との間には明白な相関関係が見られたとも。 Influence of orchiectomy on canine behaviour
R.J.Maarschalkerweerd, DVM, N. Endenburg, PhD, J. Kirpensteijn, DVM and B. W. Knol, DVM, PhD, VetRecord Volume 140, Issue 24, DOI:10.1136/vr.140.24.617
オーストラリア(2003)
マードック大学の調査チームは、犬を飼っている人の中からランダムに抽出した657世帯にアンケート調査を行い、肥満の関連因子を検証しました。
飼い主の主観で860頭に及ぶ犬の体型が評価され、25%が肥満と判定されました。ロジスティック回帰分析したところ、危険因子として残ったのは不妊手術(OR2.8)、1日1回給餌(OR1.4)、おやつを与えている(OR1.5)、単頭飼い(OR1.6)という項目だったといいます。また犬の年齢が1歳上がるたびにORが0.1増加し、週の運動時間が1時間増えるたびにORが0.1減少するという関連性も確認されたとも。ただし当調査における体型評価に明白な基準はなく、飼い主のざっくりした印象で「やせている」「普通」「太っている」のどれかに区分しただけのものです。 The association of exercise, diet and other factors with owner-perceived obesity in privately owned dogs from metropolitan Perth, WA
Prev Vet Med. 2003 Apr 30;58(1-2):75-83., Robertson ID, DOI: 10.1016/s0167-5877(03)00009-6
飼い主の主観で860頭に及ぶ犬の体型が評価され、25%が肥満と判定されました。ロジスティック回帰分析したところ、危険因子として残ったのは不妊手術(OR2.8)、1日1回給餌(OR1.4)、おやつを与えている(OR1.5)、単頭飼い(OR1.6)という項目だったといいます。また犬の年齢が1歳上がるたびにORが0.1増加し、週の運動時間が1時間増えるたびにORが0.1減少するという関連性も確認されたとも。ただし当調査における体型評価に明白な基準はなく、飼い主のざっくりした印象で「やせている」「普通」「太っている」のどれかに区分しただけのものです。 The association of exercise, diet and other factors with owner-perceived obesity in privately owned dogs from metropolitan Perth, WA
Prev Vet Med. 2003 Apr 30;58(1-2):75-83., Robertson ID, DOI: 10.1016/s0167-5877(03)00009-6
オーストラリア(2005)
シドニー大学の調査チームは国内48の動物病院に対するアンケート調査から得られた、合計2,661頭分の体型データを参照し、肥満の危険因子を検証しました。
その結果、全体の33.5%に相当する892頭が太り気味、7.6%に相当する201頭が肥満に分類されたといいます。「やせ」と判断された112頭を除外し、残った2,549頭を分析対象としたところ、オスメスはおよそ半々で、74.7%が不妊手術済だったとのこと。10歳になるまで加齢とともに肥満率が高まった後、下降するという傾向も見られました。また犬種と不妊手術が特定の組み合わせになると危険因子として作用する現象が確認されました。具体的には、オーストラリアのワーキングドッグ(オーストラリアンキャトルドッグ・オーストラリアンシェパード・オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグなど)は不妊手術で肥満リスクが高まるのに対し、その他のワーキングドッグでは逆に低くなるというものです。 Prevalence of obesity in dogs examined by Australian veterinary practices and the risk factors involved
P. D. McGreevy, BVSc, PhD, MACVSc, et al., Veterinary Record(2005)156,695-702, DOI:10.1136/vr.156.22.695
その結果、全体の33.5%に相当する892頭が太り気味、7.6%に相当する201頭が肥満に分類されたといいます。「やせ」と判断された112頭を除外し、残った2,549頭を分析対象としたところ、オスメスはおよそ半々で、74.7%が不妊手術済だったとのこと。10歳になるまで加齢とともに肥満率が高まった後、下降するという傾向も見られました。また犬種と不妊手術が特定の組み合わせになると危険因子として作用する現象が確認されました。具体的には、オーストラリアのワーキングドッグ(オーストラリアンキャトルドッグ・オーストラリアンシェパード・オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグなど)は不妊手術で肥満リスクが高まるのに対し、その他のワーキングドッグでは逆に低くなるというものです。 Prevalence of obesity in dogs examined by Australian veterinary practices and the risk factors involved
P. D. McGreevy, BVSc, PhD, MACVSc, et al., Veterinary Record(2005)156,695-702, DOI:10.1136/vr.156.22.695
フランス(2006)
アルフォール国立獣医学校は2003年2月から5月の期間、ワクチン接種のために訪れた犬の飼い主を対象としたアンケートを行い、犬の肥満に関する疫学調査を行いました。
合計616頭分のデータを解析したところ、去勢オス7.1%、未去勢オス45.5%、避妊メス15.7%、未手術メス31.5%という内訳になったといいます。獣医師による目視検査でBCS(5段階)を評価したところ、太り気味(BCS4)が33.8%、明らかな肥満(BCS5)が5%と区分されました。肥満体型の危険因子を多変量解析した結果、オッズ比で未手術メスが1.57、去勢オスで2.81、レトリバー4.65、飼い主が隠居生活2.98になったとも。加齢が進むごとにリスクも高まる傾向も確認されました。 Risk Factors for Obesity in Dogs in France
Laurence Colliard, Julie Ancel, Jean-Jacques Benet, et al., The Journal of Nutrition, Volume 136, Issue 7, 1 July 2006, Pages 1951S?1954S, https://doi.org/10.1093/jn/136.7.1951S
合計616頭分のデータを解析したところ、去勢オス7.1%、未去勢オス45.5%、避妊メス15.7%、未手術メス31.5%という内訳になったといいます。獣医師による目視検査でBCS(5段階)を評価したところ、太り気味(BCS4)が33.8%、明らかな肥満(BCS5)が5%と区分されました。肥満体型の危険因子を多変量解析した結果、オッズ比で未手術メスが1.57、去勢オスで2.81、レトリバー4.65、飼い主が隠居生活2.98になったとも。加齢が進むごとにリスクも高まる傾向も確認されました。 Risk Factors for Obesity in Dogs in France
Laurence Colliard, Julie Ancel, Jean-Jacques Benet, et al., The Journal of Nutrition, Volume 136, Issue 7, 1 July 2006, Pages 1951S?1954S, https://doi.org/10.1093/jn/136.7.1951S
中国(2013)
中国農業大学は2008年4月から2011年4月の期間、北京7地区にある14の動物病院を受診した犬合計2,391頭のデータを参照し、肥満の危険因子を検証しました。
その結果、獣医師による評価でBCS(5段階)4以上に区分された犬の割合は44.4%だったといいます。またリスク変動因子としては手作りフード(OR1.38)、年齢(1~2歳でOR0.04)、自由に運動させる(OR0.69)、未手術(OR0.63)、オス(OR0.63)、1日1回給餌(OR0.52)などが残りました。 Prevalence and risk factors for canine obesity surveyed in veterinary practices in Beijing, China
Mao J, Xia Z, Chen J, Yu J., Prev Vet Med. 2013 Nov 1;112(3-4):438-42. doi: 10.1016/j.prevetmed.2013.08.012
その結果、獣医師による評価でBCS(5段階)4以上に区分された犬の割合は44.4%だったといいます。またリスク変動因子としては手作りフード(OR1.38)、年齢(1~2歳でOR0.04)、自由に運動させる(OR0.69)、未手術(OR0.63)、オス(OR0.63)、1日1回給餌(OR0.52)などが残りました。 Prevalence and risk factors for canine obesity surveyed in veterinary practices in Beijing, China
Mao J, Xia Z, Chen J, Yu J., Prev Vet Med. 2013 Nov 1;112(3-4):438-42. doi: 10.1016/j.prevetmed.2013.08.012
日本(2016)
明治大学・農学部の研究チームは2006年~2013年の期間、日本全国にある1,198の動物病院から犬の属性(BCS・年齢・性別・不妊手術の有無・犬種)に関するデータを収集し、それらのデータが「BCS4」(太り気味)と「BCS5」(肥満)という犬の体型とどのような関係にあるかを精査しました。
1,020の動物病院から収集されたBCS2~4に属する103犬種・4,761頭のデータを元に「BCS4(太り気味)」の危険因子を検証したところ、「不妊手術を受けている中型犬・小型犬・トイ犬は受けていない同体型種よりも太りやすい」「不妊手術を受けている小型犬・トイ犬は大型犬よりも太りやすい」という項目が残ったといいます。
同様に1,094の動物病院から収集されたBCS2~5に属する108犬種・5,605頭のデータを元に「BCS5(肥満)」の危険因子を検証したところ、「小型犬の場合、不妊手術を受けた方が太りやすい」「中型犬の場合、不妊手術を受けていない方が太りやすい」という項目が残りました。
詳しくは「日本国内のペット犬のうち半数以上が肥満体であることが判明 」でも解説してあります。 Characteristics of obese or overweight dogs visiting private Japanese veterinary clinics
Shiho Usui, Hidemi Yasuda, Yuzo Koketsu, Asian Pacific Journal of Tropical Biomedicine, Volume 6, Issue 4, April 2016, Pages 338-343, DOI:10.1016/j.apjtb.2016.01.011
同様に1,094の動物病院から収集されたBCS2~5に属する108犬種・5,605頭のデータを元に「BCS5(肥満)」の危険因子を検証したところ、「小型犬の場合、不妊手術を受けた方が太りやすい」「中型犬の場合、不妊手術を受けていない方が太りやすい」という項目が残りました。
詳しくは「日本国内のペット犬のうち半数以上が肥満体であることが判明 」でも解説してあります。 Characteristics of obese or overweight dogs visiting private Japanese veterinary clinics
Shiho Usui, Hidemi Yasuda, Yuzo Koketsu, Asian Pacific Journal of Tropical Biomedicine, Volume 6, Issue 4, April 2016, Pages 338-343, DOI:10.1016/j.apjtb.2016.01.011
アメリカ(2016)
タフツ大学の調査チームは一般病院を受診した107頭と低料金病院を受診した122頭の犬を対象とし、飼い主の給餌習慣と肥満との関係性を検証しました。
その結果、前者における肥満率が58%、後者におけるそれが53%で統計的な格差は見られなかったといいます。さまざまな変数を多変量解析して危険因子を検証したところ、唯一「不妊手術」だけが残ったとも。具体的には、オスでもメスでも不妊手術を受けた方が肥満に陥りやすいというものでした。 Body Condition Scores and Evaluation of Feeding Habits of Dogs and Cats at a Low Cost Veterinary Clinic and a General Practice
The Scientific World Journal, Volume 2016, Article ID 1901679, 7 pages, http://dx.doi.org/10.1155/2016/1901679
その結果、前者における肥満率が58%、後者におけるそれが53%で統計的な格差は見られなかったといいます。さまざまな変数を多変量解析して危険因子を検証したところ、唯一「不妊手術」だけが残ったとも。具体的には、オスでもメスでも不妊手術を受けた方が肥満に陥りやすいというものでした。 Body Condition Scores and Evaluation of Feeding Habits of Dogs and Cats at a Low Cost Veterinary Clinic and a General Practice
The Scientific World Journal, Volume 2016, Article ID 1901679, 7 pages, http://dx.doi.org/10.1155/2016/1901679
アメリカ(2019)
「Morris Animal Foundation」の調査チームは全米48州に暮らすゴールデンレトリバーの健康状態を長期的にモニタリングする「Golden Retriever Lifetime Study」に参加している犬を対象とし、不妊手術と肥満の疫学を調査しました。
調査開始時点ですでに肥満体型にあった282頭を除外し、残った2,767頭を対象としたコホート調査を行った結果、不妊手術のタイミングに関わらず肥満(9段階のBCSで6以上)のリスクが高まることが判明したといいます。ハザード比では手術のタイミングが6ヶ月齢以前で1.81、6ヶ月齢~1歳で2.21、1歳以降で1.56というものでした。また未手術の犬に限定した場合、オスよりメスの肥満リスクが43%高く、手術済みの犬に限定した場合、逆にメスよりオスの肥満リスクが24%高いという現象も併せて確認されました。 Age at gonadectomy and risk of overweight/obesity and orthopedic injury in a cohort of Golden Retrievers.
Simpson M, Albright S, Wolfe B, Searfoss E, Street K, Diehl K, et al. (2019) PLoS ONE 14(7): e0209131. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0209131
調査開始時点ですでに肥満体型にあった282頭を除外し、残った2,767頭を対象としたコホート調査を行った結果、不妊手術のタイミングに関わらず肥満(9段階のBCSで6以上)のリスクが高まることが判明したといいます。ハザード比では手術のタイミングが6ヶ月齢以前で1.81、6ヶ月齢~1歳で2.21、1歳以降で1.56というものでした。また未手術の犬に限定した場合、オスよりメスの肥満リスクが43%高く、手術済みの犬に限定した場合、逆にメスよりオスの肥満リスクが24%高いという現象も併せて確認されました。 Age at gonadectomy and risk of overweight/obesity and orthopedic injury in a cohort of Golden Retrievers.
Simpson M, Albright S, Wolfe B, Searfoss E, Street K, Diehl K, et al. (2019) PLoS ONE 14(7): e0209131. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0209131
デンマーク(2019)
コペンハーゲン大学の調査チームは、シェラン島に暮らす慢性疾患を抱えていない2歳超の犬を対象とし、肥満体型(9段階BCSで7以上)の予見因子が何であるかを検証しました。
社会経済的な特性が異なる地域に位置する8つの動物病院をターゲットとし、病院を受診した犬合計268頭のBCSを2人の獣医師が評価したところ、平均値は5.46で、20.5%が肥満体型に区分されたといいます。
飼い主から回収したアンケートと犬の体型との関連性を統計的に調べた結果、オス犬に関しては去勢手術がBCSを劇的に増加させる要因だった(未手術10%→去勢29%)のに対し、メス犬(未手術23%≒避妊21%)では同様の関連が見られなかったそうです。加齢に伴い、メス犬ではBCSと肥満率が増加しましたが、オス犬では逆に低下したとも。その他の肥満予見因子としては「飼い主自身が肥満体型のとき犬も肥満である確率が高い」「1日1回給餌はBCSと肥満リスクを高める」「おやつもBCSと肥満リスクを高めるが、BCS増加の方は飼い主が肥満体型という条件付き」などでした。庭などで自由に運動させることは肥満リスクを低下させ、飼い主の愛着とBCSと肥満リスクとの間に関連性は見られなかったとのこと。 Neutering increases the risk of obesity in male dogs but not in bitches ? A cross-sectional study of dog- and owner-related risk factors for obesity in Danish companion dogs
Preventive Veterinary Medicine, Volume 170, 1 October 2019, C.R.Bjornvada, T.B.Lund, 10.1016/j.prevetmed.2019.104730
社会経済的な特性が異なる地域に位置する8つの動物病院をターゲットとし、病院を受診した犬合計268頭のBCSを2人の獣医師が評価したところ、平均値は5.46で、20.5%が肥満体型に区分されたといいます。
飼い主から回収したアンケートと犬の体型との関連性を統計的に調べた結果、オス犬に関しては去勢手術がBCSを劇的に増加させる要因だった(未手術10%→去勢29%)のに対し、メス犬(未手術23%≒避妊21%)では同様の関連が見られなかったそうです。加齢に伴い、メス犬ではBCSと肥満率が増加しましたが、オス犬では逆に低下したとも。その他の肥満予見因子としては「飼い主自身が肥満体型のとき犬も肥満である確率が高い」「1日1回給餌はBCSと肥満リスクを高める」「おやつもBCSと肥満リスクを高めるが、BCS増加の方は飼い主が肥満体型という条件付き」などでした。庭などで自由に運動させることは肥満リスクを低下させ、飼い主の愛着とBCSと肥満リスクとの間に関連性は見られなかったとのこと。 Neutering increases the risk of obesity in male dogs but not in bitches ? A cross-sectional study of dog- and owner-related risk factors for obesity in Danish companion dogs
Preventive Veterinary Medicine, Volume 170, 1 October 2019, C.R.Bjornvada, T.B.Lund, 10.1016/j.prevetmed.2019.104730